感冒(かぜ)、高血圧症、糖尿病、高脂血症などに対する、一般内科診療を行っております。
各専門学会の診療ガイドラインを土台として、患者さまのご意向もうかがいながら、ベストな治療を組み立ててまいります。
健康診断で異常を指摘されたとき、その他の健康上のちょっとしたお悩みなどでも、遠慮なくご相談ください。

感冒(かぜ)

疾患の概要

おもにウイルスが原因となる、鼻や喉などの上気道で起こる炎症です。
正式な病名は急性上気道炎といいます。

症状

上気道の炎症による症状:鼻水、くしゃみ、喉の痛み、咳、声のかすれなど。
全身の症状:発熱、倦怠感(だるさ)、筋肉痛、下痢など。

治療

かぜの原因となる多くのウイルス(ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、RSウイルスなど)に有効な薬剤は、まだ開発されていません。
このため、患者さんご自身の免疫の力でウイルスが排除され、自然治ゆするのを待つのが基本的な対応です。
水分を充分に摂取し、快適な温度環境で安静にして、体を休ませましょう。
つらい症状を抑えて体力の消耗を防ぐために、解熱鎮痛剤や消炎剤、せき止めなどを短期間服用していただく事もあります。
なお、かぜと似た症状を示す、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス(SARS-COV2)に対しては、それぞれ専用の治療薬が処方可能です。

予防のために

冷たく乾燥した空気を気道に吸い込むと、気道の防御力が低下してウイルスに感染しやすくなります。
冬はお部屋を暖かくして、加湿器などで適切な湿度(40-60%)を保ちましょう。
睡眠中に口呼吸になってしまう方は、鼻で加温・加湿されていない空気が喉に直接吸い込まれるため、感染を起こしやすくなります。
就寝時にはマスクを着用していただいたり、口開き防止テープを使用していただくとよいでしょう。
マスクの着用は、飛沫によるウイルスの感染を防ぐだけでなく、気道を加湿して気道の防御力を保つ意味でも感染予防に有効です。
インフルエンザの流行時期(例年12月-3月)には、お出掛けの際にマスクの着用をおすすめします。
お出掛けからお帰りになったときは、うがいや手洗いをしっかりと行いましょう。
疲労や睡眠不足は体の抵抗力を低下させます。
充分な睡眠と休養をとるようにしましょう。

インフルエンザ

疾患の概要

インフルエンザウイルス(A型、B型)による感染症です。
毎年12月頃から流行が始まり、1月頃に流行のピークを迎え、3月頃まで流行が続くのが一般的です。
ヒト-ヒト間だけでなく、トリやブタなどの動物から感染することもあります(人畜共通感染症)。

症状

かぜの症状に似ていますが、高熱や筋肉痛、関節痛など、かぜと比べて全身の症状がより強い傾向にあります。
小児や高齢者では、まれにインフルエンザ肺炎やインフルエンザ脳症など、重篤な合併症を起こして生命に危険を及ぼすことがあります。

治療

インフルエンザウイルスの増殖を抑制する薬剤が複数開発されており、患者さまの状態などによって使い分けます。
吸入薬:ザナミビル(リレンザⓇ)、ラニナミビル(イナビルⓇ)
内服薬:オセルタミビル(タミフルⓇ)、バロキサビルマルボキシル(ゾフルーザⓇ)
注射薬:ペラミビル(ラピアクタⓇ)
いずれの薬もインフルエンザウイルスが増殖しきってからでは効果がないため、なるべく早期に服用することが大切です。
また、かぜと同様に、解熱鎮痛剤や消炎剤、せき止めなども必要に応じて投与されます。

抗ウイルス薬(イナビルⓇ)

予防のために

インフルエンザウイルスは常に変異をおこしているため、過去の感染は充分な免疫として働かず、繰り返し感染を起こします。
毎年、流行時期の前(10月-12月初旬)にインフルエンザワクチンを接種していただき、その年に流行する可能性が高いウイルス株に対する抵抗力を、あらかじめつけていただく事が予防に最も有効です。
かぜの予防と同様に、部屋の温度や湿度を適切に保つこと、マスクを着用していただく事なども大切です。

高血圧症

疾患の概要

心臓から送り出された血液によって、血管の中に生じる圧力が血圧です。
血圧は心臓の筋肉が収縮したときに最も高く(収縮期血圧)、心臓の筋肉が緩んだときに最も低くなります(拡張期血圧)。
血圧測定を繰り返した結果、収縮期血圧が140以上(家庭での測定では135以上)、または拡張期血圧が90以上(家庭での測定では85以上)の場合、高血圧症と診断します。

症状

血圧が非常に高くなると、めまいや頭痛、肩こりなどの症状が出ることがありますが、一般的には高血圧による自覚症状はほとんどありません。
しかし、血圧が高い状態が持続すると、血管の壁に負担がかかり動脈硬化が促進されます。
動脈硬化は、脳卒中、心筋梗塞、大動脈瘤、腎硬化症など、生命を脅かす可能性がある多くの疾患の原因となります。

治療

血圧計を購入し、ご自宅で毎日血圧を測っていただくことが高血圧治療の第一歩です。
減塩や肥満の改善、禁煙などの生活習慣の改善に努めた上で、必要に応じて降圧薬が処方されます。
降圧薬には多くの種類があり、それぞれ作用のメカニズムや効果の強さ、持続時間などが異なっています。
患者さまの状態や併存する疾患に応じて、最適な薬剤を選択する必要があります。

予防のために

①食塩の摂取量を、1日6g未満を目標に減らしましょう。
②適正体重(身長150cmで約50kg、身長170cmで約63kg)を目標に、肥満を解消しましょう。
③喫煙者の方は禁煙しましょう。
④アルコールの節酒は控えめ(ビール中瓶1本または日本酒1合程度)にしましょう。
⑤1日30分程度、週180分程度を目標に、有酸素運動を行いましょう。

糖尿病

疾患の概要

血糖を低下させるホルモン(インシュリン)の働きが体内で低下し、血糖値が上昇してしまう病気です。
血糖値が高い状態が続くと、血管の壁にダメージが蓄積して、様々な臓器で合併症を起こすようになります。
腎臓で起こる合併症の糖尿病性腎症は、人工透析となる原因疾患の第1位を占めています。

症状

初期の自覚症状としては、喉がかわく、水分を多くとるようになる、尿がたくさん出る、体重が減少するなどの兆候が見られることがありますが、自覚症状が全くない方も少なくありません。
高血糖の状態が長期で続くと、視力の低下(糖尿病性網膜症)、手足の末端のしびれや立ちくらみ(糖尿病性神経症)、感染を起こしやすくなる(易感染性)などの合併症による症状が出現してきます。
腎臓の能力が低下する糖尿病性腎症は、自覚症状が乏しいまま進行して、最終的に腎臓の機能が失われ、人工透析にいたる可能性があります。
さらに、脳や心臓の血管での動脈硬化が促進され、脳卒中や心筋梗塞を起こすリスクも高まります。

治療

①食事療法:過剰なカロリーの摂取を控えることで、体内でのインスリンの必要量を減らします。
②運動療法:血液中のブドウ糖が消費されて高血糖の状態が改善するほか、体の細胞がインスリンによく反応するようになります。
③減量:体内に蓄積した脂肪組織からは、TNF-αなどのアディポカインと呼ばれるタンパク質が分泌され、インスリンの働きを阻害します。減量して脂肪を減らすことで、体の細胞がインスリンによく反応するようになります。
④内服薬:①-③で不十分と思われる場合に、内服薬を投与します。インスリンの分泌を促進する薬、インスリンへの反応を改善する薬、ブドウ糖の吸収を抑制したり体外に排泄する薬に大別されます。患者さまの状態に合わせて、最適なお薬を選択する必要があります。
⑤インスリン療法:膵臓が疲弊してしまい、インスリンを分泌する能力が低下してしまった場合には、体外から注射でインスリンを補充する必要があります。

予防のために

①早食いドカ食いをさけ、朝昼夕で均等な量の食事を、よく噛んで食べましょう。糖分よりも先に野菜などの繊維質を摂取すると、血糖の急激な上昇が抑えられます。
②1日30分程度、週180分程度を目標に、有酸素運動を行いましょう。
③適正体重(身長150cmで約50kg、身長170cmで約63kg)を目標に、肥満を解消しましょう。

脂質異常症

疾患の概要

血液中の脂質の値が異常を来している状態です。
以下の3つの状態が医学的に問題とされます。
①動脈硬化を促進する、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の高値(140mg/dl以上)
②動脈硬化を抑制する、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の低値(40mg/dl未満)
③中性脂肪(トリグリセライド)の高値(150mg/dl以上)

症状

脂質の異常による自覚症状はほとんどありませんが、まぶたに薄黄色の隆起(黄色腫)が生じることがあります。
血管の壁にLDLコレステロールが沈着し、白血球(マクロファージ)に取り込まれると、プラークとよばれる隆起ができて血管が狭くなります。この状態が動脈硬化です。
動脈硬化が強くなると、血液の流れがスムーズでなくなり、血流障害による症状が出やすくなります。
動脈硬化を起こした血管はしなやかさを失うため、血圧に負けて動脈瘤ができやすくなります。
また、脳や心臓の血管でプラークが破れて血流が途絶すると、心筋梗塞や脳梗塞などの生命を脅かす疾患に発展します。
中性脂肪の高値は、動脈硬化と関連する他に急性膵炎の発症リスクを高めると考えられています。

治療

生活習慣の改善を試みて、それでも効果が不十分な場合には薬物治療を検討します。
①肉類や乳製品、動物性油脂などの摂取をひかえ、野菜やキノコ、青魚、大豆、海藻などを多く摂取しましょう。
②適正体重(身長150cmで約50kg、身長170cmで約63kg)を目標に、肥満を解消しましょう。
③1日30分程度、週180分程度を目標に、有酸素運動を行いましょう。
④アルコールの節酒は控えめ(ビール中瓶1本または日本酒1合程度)にしましょう。
⑤喫煙者の方は禁煙しましょう。

薬物治療としては、肝臓でのコレステロールの合成を抑える薬と、腸でのコレステロールの吸収を抑える薬がおもに用いられます。

予防のために

普段の生活習慣、食習慣が大切です。
①肉類や乳製品、動物性油脂などの摂取をひかえ、野菜やキノコ、青魚、大豆、海藻などを多く摂取しましょう。
②適正体重(身長150cmで約50kg、身長170cmで約63kg)を目標に、肥満を解消しましょう。
③1日30分程度、週180分程度を目標に、有酸素運動を行いましょう。
④アルコールの節酒は控えめ(ビール中瓶1本または日本酒1合程度)にしましょう。
⑤喫煙者の方は禁煙しましょう。